循環式浴槽のレジオネラ対策
入浴施設の衛生管理とレジオネラ対策
レジオネラを速効除去!循環式浴槽の薬品洗浄工事
ホテル・温泉・銭湯・老人ホーム・健康センター・社員寮などに入浴施設で、特に循環ろ過装置を使用していますと、自然と人体の皮脂成分や浴槽水の成分が配管内で固形化され、徐々に付着・蓄積していきます。 それらを放置しておきますと、この蓄積物(バイオフィルム)を栄養源にしたアメーバが生息し、その内部でレジオネラ属菌が増殖し、それが浴槽内に流出されてレジオネラ症の感染事故を引き起こす原因にもなるのです。入浴施設の管理者は、日頃から常に正しい衛生管理を行なう必要があります。
レジオネラ属菌の基礎知識
レジオネラ属菌とは・・・
レジオネラ属菌は、土壌や河川、湖沼など自然環境に広く生息している細菌です。一般的に20~50℃の温度、pH7.5~8.5の範囲で成長に適しています。 |
レジオネラ症とは・・・
「レジオネラ属菌」という細菌に感染することによって起こる病気(感染症)で、「レジオネラ肺炎」と「ポンティアック熱」に2つに分けられます。これらは一般的に乳幼児や高齢者、病気にかかっている人など抵抗力の弱い人が感染しやすいのですが、健康で抵抗力の強い人でも喫煙や大量飲酒した場合、過労の場合などには感染、発病することがあり注意が必要です。人から人には感染することはありません。
レジオネラ症の感染源は・・・
レジオネラ属菌が高い割合で生息しているのは、空調用クーリングタワーの冷却水、循環式浴槽(温泉利用施設・ジャグジー)などです。これらは微生物(アメーバ)の繁殖に適しているため、レジオネラ属菌が入り込むと増殖が進み、感染源となるおそれがあります。
循環式浴槽とは・・・
浴槽の湯の使用量を少なくする目的で、お湯をろ過器に通して循環させることによって清浄に保つ構造の浴槽をいいます。
循環式浴槽のレジオネラ属菌の発生は・・・
浴槽内の消毒や清掃が不十分な場合、浴槽の壁面や循環ろ過装置の内部、配管内にヌルヌルとしたぬめりがつくことがあります。これをバイオフィルム(生物膜)といい、槽内に付着した微生物が作り出した粘液性の物質で形成されています。バイオフィルムの内部は栄養分が豊富で、消毒剤や紫外線などから保護されているため、微生物(アメーバ)の繁殖に適しています。
この中で寄生して増殖したレジオネラ属菌が浴槽の中に流れ込み、その汚染された目に見えない細かい水滴(エアロゾル)を肺に吸い込むことで感染します。
循環式浴槽の適切な維持管理
日常の浴槽・浴槽水の管理
一般的に塩素系薬剤を各都道府県の条例で定められた基準値以内で使用して消毒を行います。
営業時間中は常に浴槽水が満水の状態を維持します。
浴槽水は1週間に1回以上は完全に排水し、その際に清掃・消毒します。
水質検査を1年に2回以上(塩素消毒でない場合は1年に4回以上)行い、定められた基準値内であるか確認します。
集毛器・ろ過器の維持管理
集毛器(ヘアキャッチャー)は毎日清掃します。
ろ材の種類を問わず、ろ過装置自体がレジオネラ属菌の供給源とならないよう、1週間に1回以上逆洗を行って汚れを排出するとともに、消毒を行います。
循環配管の維持管理
循環配管内がレジオネラ属菌の温床とならないよう、年に1回程度、または水質検査でレジオネラ属菌が確認された場合は、専用の洗浄剤を使用して徹底的に洗浄し、バイオフィルムを除去することが必要です。
浴槽水の吐出口の維持管理
浴槽水の吐出口は浴槽水面よりも下に設け、上にある湯口からは新しい湯や水以外流さないでください。
循環させた浴槽水をシャワーなどに再利用しないでください。
貯湯槽の維持管理
内部に汚れが入り込まないように破損個所がないか、随時点検します。
槽内を1年に1回以上は清掃、消毒します。
湯温を常時60℃以上に保ちます(これにより難い場合は、塩素系薬剤で湯を消毒してください)。
徹底した配管洗浄の必要性について
循環式浴槽では循環経路内にろ過器などを設置して浴槽水を浄化して循環させていますが、設備の性格上、入浴者による汚れや表皮成分(皮脂等)などの有機物、それを栄養分とする微生物類が汚れなどに混じって絶えず浴槽水中に持ち込まれています。さらに温度条件等、微生物の生育環境に適した条件が揃っていることから、レジオネラ属菌の温床になる可能性が高い設備といえます。特に汚濁物質が付着・堆積するろ過装置内では、細菌やカビ類あるいは原生動物などの各種微生物(アメーバ)が有機物質を栄養源として増殖しやすく、これらの微生物はろ過装置内のろ材表面やその内部はもちろん、浴槽や配管の内壁、継手部分などに定着して増殖し、バイオフィルム(生物膜)を形成します。 このバイオフィルムで保護された宿主アメーバ内部でレジオネラ属菌が増殖し、しかも消毒剤が届きにくい状態であり、不利な条件から保護されることになるのです。
循環経路内にバイオフィルムが形成されている浴槽では、いくら殺菌消毒を行っても効果があるのは湯水に対してだけで、宿主アメーバ内部のレジオネラ属菌には効果がありません。その中で絶えず増殖を続けている状態になります。このような場合は、たとえ水質検査を行った結果、浴槽水中のレジオネラ属菌が検出されない(10CFU/100ml未満)場合でも安心はできません。なにか物理的な要因などでバイオフィルム内部の宿主アメーバが破れて、その中の増殖した菌がいっきに浴槽水中に遊出し汚染される可能性もあります。
以上のことから、レジオネラ属菌の繁殖を防ぐためにはその発生源となるバイオフィルムを完全に取り除き、かつ形成させないことが最も重要となります。バイオフィルムを形成させないためには、単にレジオネラ属菌だけでなくその宿主となるアメーバやスライムを作る細菌類等の各種微生物を定着・繁殖させないこと、さらにはそのアメーバの栄養源となる有機質汚れを付着・堆積させないことが必要となってきます。そのためには、ろ過装置、シャワーやカランを含めた配管内部を徹底的に洗浄し、完全に除去することが必要となります。
また、一旦洗浄により除去しても、徐々に有機質の汚れが付着堆積してきます。特に砂等の多孔質のろ材内部に入り込んだ汚れや堆積した汚れの下部等には、通常の殺菌処理では効果が行き届かない場合もあり、 再びアメーバの繁殖とその分泌物がバイオフィルムの生成につながる可能性があります。
安心してお客様に温浴施設をご利用いただくためにも、レジオネラ症発生の予防には目に見える浴槽壁面だけでなく循環経路内全体を定期的に徹底洗浄行って汚れを完全に除去した後、適正な消毒を行うことが望まれます。
循環ろ過装置および配管内の徹底洗浄事例
短期間で効率よく循環式浴槽の配管洗浄を行なうことにより、
安全で快適な入浴施設にリフレッシュします!
1. 洗浄前水位を落とし、系内の保有水量に合わせた洗浄剤を用意します。 |
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2. 「バスパエース.スーパー」(第1液)を投入し、配管洗浄を開始します。 |
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3. 反応中配管内に付着したバイオフィルムが分解・除去され、浴槽内に排出します。 |
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2. 「バスパエース」(第2液)を投入します。 |
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5. 反応中さらに汚れを浮き立たせ、再付着を防ぎます。 |
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6. 「スカラストNC」その後、専用分解剤「スカラストNC」を使用し、廃液処理を施します。 |
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7. 水洗い浴槽及び配管内を十分水洗いして終了です。総作業時間:約5時間 |
当社が配管洗浄に使用する洗浄剤「バスパエース.」と「バスパエース.スーパー」は、共に酸素系の薬剤で金属・プラスティック・陶磁器などの材質に対して影響がほとんどなく、使用後に有害物質も残りません。
また、2つの洗浄剤を効率的に併用することによって、単品で使用するより少量で高い洗浄効果が得られるため、とても経済的です。廃液による環境負荷に対しては、専用分解剤「スカラストNC」で薬剤を中和、分解処理することによって、最小限に抑えることができます。
当社が行った洗浄工事におきまして洗浄直後の水質検査(培養法)で万が一レジオネラ属菌が検出された場合は、責任を持って再洗浄させていただきます。
入浴施設の衛生管理(レジオネラ対策)の業務内容
入浴施設関連の洗浄工事実績 (全国)
*ろ材の交換や点検、改修工事などは除きます
各種洗浄工事のご案内
- 浴槽ろ過循環配管薬品洗浄
- 温泉貯湯タンク清掃
- ろ過器ろ材スケール溶解洗浄
- ガスセパレーター分解洗浄
- 浴場排水管洗浄(高圧・化学洗浄)
- 温泉配湯・送湯配管薬品洗浄
- 源泉楊湯管薬品洗浄
- 浴場床面スケール除去洗浄
浴場床面スケール除去洗浄
洗浄前 |
洗浄後 |
カルシウム、マンガンなどの各種スケール除去、特殊洗浄も実施します。
当社が洗浄技術に携わって30数年になりますが、浴槽配管洗浄の必要性、重要性がこんなに身近に感じられたのは初めてです。 安心してお客様が入浴施設をご利用いただくためにも、以下の点を入浴施設管理者の立場になって行なっております。
- 浴槽、配管内の水質検査、内視鏡による現状把握・分析
- 設備の規模・水質・使用状況に合わせ、あらゆる汚れ・スケールに適応した効果的な消毒剤・洗浄剤の選定、衛生管理方法の適切なアドバイス
- 薬品メーカーで培った技術スタッフによる、安全で効率的な配管洗浄の施工・管理
- 温泉を含めた浴槽水の水質に最も適した消毒剤や、省エネで殺菌力の優れた装置のご提案
レジオネラ対策などの衛生管理方法やスケール付着による熱効率の低下、また管閉塞トラブルなどでお困りな事がございましたら、お気軽にお問合せください。